こんにちは、石川です!
今期は名古屋市内の中学校でマインクラフトを利用した授業をさせて頂くことになりました。
中学校でマインクラフトを使うといえば「教育版マインクラフト」、俗に言う「Education Edition」ですね。
この教育版マインクラフトを使った授業を組み立てるに当たり、「教育版マインクラフトはなぜ学校教育に利用できるのか?」という視点でご紹介します。
プログラミング教育としての活用にとどまらず、科学、数学、歴史と文化、アートデザイン、SDGs、平等や多様性を受け入れることを学んだりすることもできます。
本記事がマインクラフトを学校教育の現場に取り入れるきっかけとなりましたら幸いです。
教育版の学校での活用方法
教育機関でマインクラフトを使うということに中々まだ前向きではない学校も多いかと思います。
何から何をどうやればよいのかわからない、という先生が多いかと思いますが、結論を申し上げますと当教室のようなマイクラを教育に使っている民間業者に協力を仰いだ方がよいと思います。
ポジショントークではなく、単純にマイクラを教育として活用できるようにカリキュラムを考えて、事前準備して、当日子どもたちに提供する流れを作るにはかなり骨が折れることだと思うからです。
マイクラが好きすぎる先生であれば全然よいと思いますが、マイクラを全く知らない大人がゼロからやるにはかなり辛いという印象です。
マイクラを教育に利用したいと考えている方は、民間業者でなくても、「マイクラに詳しい大人」を交えた上で教育プログラムを開発しないといけないと思います。
マイクラ自体のことについては子どもたちの方が詳しいですしね!
教育テンプレートを使いやすくすれば最強
マイクラに詳しい大人を交えた上で、マインクラフトを通じて何を学んでもらうかを考えるには、教育版に最初から実装されている様々な教育テンプレートをベースにして考えるのがおすすめです。
例えば教育版マインクラフトにはこのような教育テンプレートが備わっています。
これらはほんの一例ですが、他にも科学、数学、歴史と文化、アートデザイン、SDGs、平等や多様性といったテーマで様々な教育テンプレートが用意されています。
身近なものを建築する授業が入りやすい
これらのテンプレートはそのままいきなり学校の授業として使うのは難しいと思いますが、例えば「地域のランドマーク」というテーマを参考にすると作りやすいと思います。
自分たちが住んでいる地域のランドマークや、自分たちの学校をみんなで建築して、どのような工夫が凝らしてあるのか、どのような歴史的背景があるか、などを考察してマインクラフトの世界に「案内板」を作ったり、本と羽ペンを駆使して「音声案内」させる(しかも英語も可能)といった授業がやりやすいかと思います。
何をみんなで建築する、という目標に向かってマルチプレイで進めるわけですが、各々が自由気ままに作業しても全く収集がつかないという事態になります。
それが学びであり、どうやって協力して、どのように分担作業したら限られた時間で目標を達成できるか、その為に誰が何をするかなど、まさに社会の現場で求められるチームワーク・チームマネジメントが必要になります。
普段の学校の授業では中々学ぶことができない体験が、マインクラフトで実現できるわけです。
マインクラフト「教育版」はマルチプレイが不便
実際に取り組むに当たり、マインクラフト教育版は「マルチプレイをするのにとても不便」ということを理解する必要があります。
マルチプレイとは、複数のプレーヤーが同じ1つの世界で同時にプレイするということです。
普通のマインクラフト(統合版/BE版)であれば、
- 同じWifiネットワークの人がワールドを開いていれば「フレンド」タブに表示されるから気軽に参加できる
- ゲーマータグでフレンド同士になっていればインターネット経由でも自由にお互いの世界に入ることができる
※任天堂Swich版のマイクラはこんな気軽にマルチプレイできません
ですので、友達がマイクラやってる!よし世界に遊びに行こう!という感じで気軽にマルチプレイができるわけです。
しかし教育版マインクラフトではこういった気軽にマルチプレイができる機能が備わっていません。
教育版マインクラフトでマルチプレイをするには
- 同じ組織で発行されたMicrosoftアカウント同士である必要がある
- ワールドを開いている(ホストしている)人が世界のパスワードを事前に通知する必要がある
特に前者については一般の方にはかなり分かりづらい仕様です。
仮に学校などの同一組織で発行されたMicrosoftアカウント同士でプレイしようとしても、何らかの方法でワールドに入る為のパスワードを知らせなければいけないんですね。
以上の点から教育版マインクラフトでマルチプレイをするのはかなり面倒であるということがおわかり頂けたかと思います。
インターネットやSNSでの出会いには危険が伴うということを学べる
そんなマルチプレイをするのに不便である教育版マインクラフト。
不便であるからこそ、「ここまでマルチプレイをするのに不便である必要があるのか」を生徒たちに考えてもらういい機会となるということです。
普通のマインクラフト統合版などでは公式サーバーなどがあり、世界中の人達と気軽に繋がってプレイすることができます。
それはそれで楽しいですが、それに比べて教育版は不便だよねーで終わらせるのか、なぜマルチプレイにはここまで慎重にならなければいけないのかを自ら考えさせてみてください。
これができるかどうかで、生徒たちが大人になる前に、インターネットやSNSでの出会いには慎重にならなければいけないことを理解する為の機会として頂きたいのです。
マーケットプレイスも存在しない
通常のマインクラフト統合版には「マーケットプレイス」というものが存在しています。
世界中のプロマインクラフター達が作った作品などを買って、自分のマインクラフトにアドオン(追加機能)として入れることができる仕組みです。
たまーにこのマーケットプレイスで子供がどんどん課金してしまう、という相談も受けます。
(ちなみに大人が意図せず、子供が勝手に課金してしまったものはちゃんと申請すれば返金してもらえるようです)
こういったマーケットプレイスも教育版マインクラフトには存在しません。
もし存在していて、みんなが自由に課金できてしまったらどうなるでしょうか?
インターネットで買い物をする場合はクレジットカードが主流で、その請求があとからまとめて来ますので、どうもお金を使っているという感覚が鈍くなりがちです。
子供であれば尚更ですので、ここも自分たちで「ネットでお金を使うこと」について考えてもらう良いきっかけとしたいですね。
マーケットプレイスに出品する側になろう
余談ですがマインクラフト統合版を極めていけば誰でも「マーケットプレイス」で自分の作品やゲームを世界中に向けて販売することができるようになります。
世界にはこのマインクラフトのマーケットプレイスでの作品販売だけで生活している人も居るくらいです。
マーケットプレイスで販売できるような作品を作るためには「コマンド」や「アドオン」を学ぶ必要がありますが、ぜひ出品する側を目指してほしいなと思います。
コードビルダーにアクセスしやすいのも利点
マルチプレイという観点ではありませんが、教育版マインクラフトでは「コードビルダー」にもとてもアクセスしやすくなっています。
コードビルダーとは、こういう感じのプログラミングレッスン用の機能です。
マルチプレイでコードビルダーを利用することももちろんできますので、コードビルダーを活用したゲーム開発なんかも楽しそうですね。
マイクラを教育現場で使いやすくできるか
教育版マインクラフトについて書いてきましたが、とはいえやはりいきなり何もわからない先生が学校に導入するのはハードルが高いですね。
子どもたちの教育にとって物凄く良いのは間違いないのに、それをうまく教育現場で活用できるような仕組みがないのが現状です。
学校現場で簡単に教育活用できるような授業スキームを作り上げ、いつか公開したいなと思っております。
マイクラを通じて、学校では学べないことを学べる機会を作ることが、当教室の使命としてこれからも活動を続けて参ります!