※写真はイメージです

こんにちは、石川です。

先日、名古屋市内の市立中学校にてマインクラフトを使ったプログラミングの授業をさせて頂きました。

その感想と、中学校でのマイクラを使ったプログラミング授業を円滑に進める方法をまとめました。

全国の中学校でマイクラを利用したプログラミング教育をお考えの先生方、教育関係者の方々の参考になりましたら幸いです。

中学校でマイクラの授業を実施した感想

初めて中学校でマイクラの授業をさせて頂いて、大きな感想はこの3つです。

  1. 先生方の情熱が素晴らしい
  2. 中学生は、飲み込みが早い
  3. 環境・端末問題さえクリアできれば、なんとかなる

1つずつ掘り下げていきます。

先生方の情熱が素晴らしい

まずは何と言っても、先生方の「授業を楽しくしたい」「今までに無い授業を行いたい」という意欲がとても素晴らしいです。

今回一番感銘を受けたのは、授業を担当して頂いた技術科の先生が「マイクラ初心者」であるにも関わらず、こちらの用意したマイクラ教材を事前に自身で取り組んでおき、当日、先生自身が主体となって授業を進めて頂いたということです。

もちろん、1から10までこちらにお任せ頂ければ楽しく授業を進めることができます。

しかしそうではなく、学校の先生自身が授業を行うことができるように、ということで私はあくまでサポート役に徹することができました。

マイクラの専門的な話があるところでは私が話をしましたが、授業の8割は技術科の先生によって進行して頂きました。

この姿勢があってこそ、今回のマイクラプログラミング授業が大成功した要因であることは間違いありません。

中学生は、飲み込みが早い

生徒のマイクラ習熟度やプログラミング能力は年齢に関わらず様々ですので、当教室では個別指導を行っております。

しかし今回は市立中学校の授業ということで、一律の内容で全員が同じ課題を取り組むことになります。

必然的にプログラミングの内容が易しいものになってしまいがちですが、それだとマイクラプログラミングの本当の楽しさが伝わらないと思い、多少難しい内容(というより普段からマイクラをやっていない人にとってはよくわからない)ことも盛り込んでみました。

時間内に全て終えることができるかな、と不安がありましたが蓋を開けてみればさすが中学生!

パソコンでのマイクラ操作が初めての人も沢山いるのに、すぐにWASDキーでの移動、マウスでの視点移動等に慣れ、簡単な家の建築もこなしてしまいました。

そしてアルファベットや簡単な英語もみんなできますので、コマンドもすんなりと実施。

ゾンビや生き物をコマンドで出現させることができて笑いがたくさん起きていました。

/summon の後に出したい動物の英単語を入力すればいいんだよ!という私の説明が悪く、

/summon dog で犬が出ない!と嘆いていた子には申し訳なかったです(笑)

※マイクラの世界には「犬」が居ないのでエラーになる

普段から「マイクラをやっていることが前提の生徒」としか接していなかった私にとってはとても新鮮でした。

同時に、マイクラをやったことがない人でもプログラミングが学べるようにするとはどういうことかを体現させて頂きました。

ネット環境・端末問題さえクリアできれば、なんとかなる

今回のマイクラプログラミング授業を実施するにあたって最大の不安点は

  1. 生徒たちのパソコンでマインクラフト教育版が動作するか
  2. マイクラプログラミングに必要な機能が動作するか

この2点でした。

まずそもそも、生徒たちに配布されているタブレットやPCに「マインクラフト教育版」をインストールする許可を取り付ける必要がありました。

晴れてインストールができたとしても、生徒たちのパソコンのスペックはそれほど高くありません。

果たしてマインクラフトが動作するか?プレイに支障はないレベルか?(カクカクでプレイができないなど)

まずはこの点をクリアした上で、次はマイクラプログラミングに必要な

  • メイクコード
  • コマンド
  • マルチプレイ

この3点が実施できるかをテストする必要がありました。

当教室では普段、コマンドをメインに授業を行っているので、最悪、コマンドさえ動かすことができれば授業として成り立たせる自信がありました。

今回は担当の先生方と事前に色々と試した結果、メイクコードとコマンドは動作させることができましたがマルチプレイは実現できませんでした。

それ故に当初は「自分たちの学校を共同建築して、学校の魅力を日本語と英語で発信しよう」という内容の授業をご提案していたのですが叶わず、個々の世界でコマンド・メイクコードによるゲーム作りに変更させて頂きました。

当初の計画とは違った授業にはなってしまいましたが、ひとまず生徒の端末でマイクラが動き、最悪でもコマンドさえ動けば授業になるということがわかり安心しました。

以上が授業を実施してみての感想でした。

次は実際に中学校でマインクラフトを利用したプログラミング学習を行う際に必要な手順をまとめておきました。

マイクラのプログラミング学習を円滑に進める方法

  1. 学校マイクロソフトアカウントでのマイクラ利用申請
  2. マインクラフト教育版のインストール・動作確認
  3. メイクコードの利用申請
  4. マウス・電源確保
  5. 教材の事前理解
  6. 授業前のマイクラ起動・ログイン
  7. 教材の配布または大画面での授業

この順番で解説していきます。

1.学校マイクロソフトアカウントでのマイクラ利用申請

まずは生徒たちの端末または学校の端末でマインクラフト教育版を利用する許可申請を行います。

生徒たちの端末で行う場合、生徒たちのマイクロソフトアカウント側にも許可が必要になるようです。

2.マインクラフト教育版のインストール・動作確認

生徒や学校の端末での利用許可が出ましたら、実際にマインクラフト教育版をインストールして動作確認を行います。

単純に起動すればOKというものではなく、起動した後に生徒のマイクロソフトアカウントでログイン、マイクラの世界を生成して移動やブロックの破壊・設置など、プレイが支障なくできるかどうかを確認します。

端末の性能によってはマインクラフトがカクカクしてしまい、プレイするに耐えない場合もあります。

画面がカクカクした状態で長くプレイしていると「3D酔い」しやすく、気分が悪くなってしまいますので注意してください。

3.メイクコードの利用申請

マインクラフト教育版では「メイクコード」を利用することができます。

マインクラフトのメイクコード画面

メイクコードはスクラッチに似た、マインクラフトで動作するプログラミング教育用の機能です。

これを利用するには各端末から下記URLへのアクセス許可を得る必要があります。

  • https://makecode.com/
  • https://minecraft.makecode.com/

学校のネットワークの多くは有害なサイトをブロックするためのフィルタリングがされているので、上記2つのURLはフィルタリング対象から外れるようにしておきます。

4.マウス・電源確保

ここまでクリアできたら、あとは簡単です。

マインクラフトのプレイには基本的にマウスを使用しますので、一人1つマウスを準備してください。

さらにマインクラフトをプレイしているとパソコンの電源消費が激しいので、できれば電源も確保できるとよいです。

5.教材の事前理解

マイクラを普段からプレイしていない先生にとってはそもそもマインクラフトの操作自体から事前に学んでおく必要があります。

当教室で準備したテキストがありますので、これに沿ってまずは一通り進めて頂ければマイクラでのプログラミングのやり方が掴めるかと思います。

当教室の教材の一部

6.授業前のマイクラ起動・ログイン

あとはいよいよ当日。

マイクラの起動には時間がかかりますので、準備ができた生徒から先にパソコンの電源を付け、マインクラフト教育版を起動してマイクロソフトアカウントでログインしておくとスムーズです。

パソコンの調子が悪い生徒がたまに居ると、マインクラフトへのログインだけで20分近くかかってしまった生徒も居ました。

そういう場合は臨時のパソコンや先生のパソコンで代替するなどの応急対応が必要です。

7.教材の配布または大画面での授業

教材は事前に印刷して紙で配布しておくと、できる生徒はどんどん自分で進めていくので授業がスムーズです。

全員一斉に進めたい場合は、プロジェクターや大画面などに教材を写して進めます。

取り組む内容を画面に映し出しておき、最初に簡単な解説をした上であとは生徒たちに実際に進めてもらいます。

先生方は個々の生徒をまわって躓いている子をサポートする、という流れになります。

総合学習の時間でこそマイクラの力が発揮される

以上が簡単なマインクラフトプログラミング授業の進め方でした。

「普段はいつも寝ている生徒が今日は起きて取り組んでた!」と先生が言っていましたし、生徒から「授業が、楽しい!」という言葉が実際に出ていました。

マイクラを使うだけで楽しくなるのですが、利用しない手はないですね。

今回はマルチプレイができなかった都合上、一人ひとりの端末内にてコマンドの練習を進めて頂きました。

しかし本当はマインクラフトの「マルチプレイ」を利用することで、もっと生徒たちに楽しくて大きな学びを提供することができます。

「自分たちの学校」という全員が共有できるテーマにおいて、学校がどのような作りになっているか、どういう点が良くて、どういう点はもっと改善したらよいか。

そしてそれをマインクラフトの機能を使って発信、さらに英語に翻訳して音声案内もさせるといったことができます。

そこには必ず生徒同士のコミュニケーションが生まれ、協力と分担、さらにリーダーシップが必要になります。

マインクラフトという強烈な動機をもってすれば、生徒たちが「主体的に」学びに向かうことができる。

マインクラフトの教育に秘める可能性は絶大であり、今後も当教室ではマインクラフトでの学びを追求して参ります。

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